煩悩の滝

煩悩を叫ぶ日記。私は元気に腐ってる!!!

普通の人々/松山花子

これも面白かった〜。松山先生のご本にはアタリしかない!!設定は突拍子もないけど、だからこそ常識って何だろう、多様性って何だろうと堅苦しくなく考えられる一冊。

 

普通の人々

普通の人々

 

 

この本は、平々凡々に生きてきた普通のサラリーマンとその一家が主人公。マイナー派が市民権を得ている“地方”に配属されたが、ここはこれまでの常識や社会通念が通らないマイナー派が市民権を持つ地域だった。この地方で普通の家族が擬態して生きる様子が面白おかしく描かれている。例えば、佐藤姓がこの地方ではとても珍しい苗字(佐藤は苗字人口1位)だったり、定食は選択の自由をドブに捨ててるような堕落した人間が食べる物だと糾弾されたりなど中々極端な世界の話なんだけど、、笑 定食大好き人間だから選択の自由をドブに捨ててる物という定義は新鮮すぎて掴まれたね〜。定食を選ぶという自由があるじゃないか!と思うけど、この本は新たな見方を提案してくれるから好き!

サラリーマンの夫は普通の中の普通だから難儀してるけど、奥さんは主婦力を発揮して場を読みマイナーを柔軟に楽しんでいる。子供2人は水が合うのか、マイナーな趣味同士でつるんだり生き生きと生活していて大人と子供の対比だったり、夫とそれ以外の柔軟性や吸収力の違いも面白くて自分だったらどうするかな、と思いながら読み進めた。多様性って何だろうと考える機会が多くなった今、そのとっかかりの一つとして読んでもいいんじゃないかな。

少数派が大多数になっててこれはこれでメジャーが占めてる世界なんじゃないか、とか、もはや普通とは自分が思ってるだけで社会通念など存在しないのでは?とか思えてくるけど、答えなんてわかんないんだから楽しんで考えながら読めるといいなあと思う。